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門松をとると生酔目だつ也

2006/12/25 21:35

 

産経抄

 年明けの「サラリ君」にちょっぴりしんみりした。なぞっておくと…。まず三日、「月曜かッ」と飛び起きて出勤。正月なのにネーとあきれる家人に「カレンダーどおりだッ」と怒っている。きのう四日は、ごちそうを食べすぎ太ったみたい、と体重計に乗せられるネコ。仕事に出たのか、あるじはいない。

 どうしてそんなにがんばるのか。いやいやサラリ君だけではない、日本のサラリーマンは働き者だ。仕事始めの日の早朝、東京に向かう飛行機に乗った。満員の乗客の大半は、背広姿の男性。出張らしい手荷物はない。察するに、年末年始を家族とともにすごした単身赴任者だろう。

 江戸時代の古川柳なんか「門松をとると生酔目だつ也」。松の内がすぎても酔っ払っている。ネコもおすそ分けに与(あずか)っていいが、あるじはもっと太ってよいのだ。「臓太(ぞうぶと)に雑煮をくらふ人はたゞ腹のはるにや春をしるらん」とやはり古い狂歌。

 食って飲んでぼちぼちと新年を始めた余裕がうらやましい。一位日本、二位アメリカ、三位イギリス。平成十四年に人々が働いた時間を比べたら、こうなる(厚生労働省推計)。日本は年千九百五十四時間。四位フランス、五位ドイツは千五百時間台だ。

 そんなわが国で過去最悪となった十五年の自殺者の多くは、三十-五十歳代の中高年だった。働かず就職意欲もない若者層、いわゆるニートが急増している。少子・高齢化も進む。これは何とかしなくちゃならないが、中高年ばかりがフル回転というのも、変な図だ。

 門松を外すまで飲んでいようとはいわない。三が日が終わる寂しさが冒頭に書かれる「金色夜叉」に、いいセリフがあった。「へい、松の内は早仕舞でございます」。そうもいくまいか。

平成十七年一月五日 産經新聞

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